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【理科】和久観音山鉱山跡 見学・採集〔地学・地域学〕

10月18日~19日にかけて、石川町の和久観音山鉱山跡にて、鉱物に関する特別授業を行いました。受講者は2年生(18日)、3年生(19日)の発展学習グループ、理科選択の生徒たちです。

ふだんは、生物と化学の時間なのですが、ここ石川町で理科の授業を行う以上、やはり石川地域の資源の一つである鉱物を教材にしないわけにはいきません!ということで、鉱物に関する特別授業は今年度2回目の実施です。
前回の様子はこちら!


和久観音山鉱山跡とは

石川地域にあるペグマタイト(巨晶花崗岩)は「日本三大ペグマタイト鉱物産地」として全国に知られています。とくに、この「和久観音山鉱床」は、石川地域を代表するペグマタイト産出地であり、第一鉱体(坑道跡)は、福島県指定の天然記念物にも指定されています。

商用途の鉱山としては昭和40年代に閉鎖されましたが、「石川鉱石採掘跡保存会」の方々により教育の場として大切に管理・保存されてきました。

説明を受ける生徒たち(3年生)

講師の先生のお話より

まず最初に、今回の特別授業の講師をお願いした保存会会長の相田様より、石川町の鉱山や産出する鉱物についての説明をしていただきました。
〔お話より〕
・石川地域は明治の終わり頃から昭和40年代にかけて、長石や石英の産地として鉱業で栄えた
鉱山は石川地域だけで最盛期には120か所!にのぼったが、全て廃坑となり、和久観音山鉱山だけが坑道などが保存され見学可能である
長石は、かつて陶磁器の釉薬(ゆうやく)として、主に愛知、岐阜、東京などに運ばれ、広く使われていた
・鉱物の運搬に水郡線を利用するために、本鉱山の近くに路線が延伸したといわれている
・多くの人々が鉱業を生業としていたので、この地域の家庭の玄関には立派な石英や水晶、ザクロ石などが飾られていた
昭和40年代の石川町の子どもたちは、現在のトレーディングカードのように、手持ちの鉱物を友だちどうしで交換して遊んでいた!
などなど。鉱業が活発だった当時の生活の面影を感じることができ、とても興味深くお話を伺うことができました。

いざ、第一鉱体(坑道跡)へ

いざ、坑道跡へ! ※入り口はふだんは施錠されています

坑道跡に足を踏み入れると、ランタンに照らされ、大きな洞窟が広がっています。洞窟の高さは2m近くあり、十分な広さがあります。
鉄の階段を降りていく生徒たちからは次々に驚きの声が上がりました。

現在入ることができる坑道跡の奥行は約25mほど
坑道跡上部の様子 様々な鉱物の姿が見えます

頭上に目を移すと、当時掘られた岩肌が見え、石英や長石の中に、黒雲母、電気石などがみえます。石川地域のペグマタイトの典型的な構成だそうです。許可を得て撮影をさせていただきました。より坑道跡の雰囲気が伝わると思います。

続いて第2鉱体を見学しました。こちらは、露天掘をしていた跡で、文象花崗岩(ぶんしょうかこうがん)が露出しています。

第2抗体の岩肌 近づくと、様々な鉱物が見えます

露天掘を体験!

第3鉱体では、実際に露天掘が体験できます。保存会の方々によって維持管理されており、多くのペグマタイト系の鉱物を採取することができます。

様々な鉱物が含まれるペグマタイト
生徒が採取した鉱物 長石に電気石などが含まれるようです

1時間弱の露天掘体験ですが、生徒たちは夢中になって鉱物を探し続けていました。主に、長石が観察できましたが、水晶に近いきれいな石英や、黒雲母、電気石も見ることができました。

黒雲母を発見!
露天掘に挑戦する生徒たち(2年生)
夢中になって露天掘に取り組む生徒たち(3年生)
相田様には鉱物の鑑定もしていただきました とてもきれいな石英を鑑定中 水晶?

最後に代表の生徒から、相田様にお礼のあいさつをしました。学校から車で10分ほどの場所に、このような貴重な鉱山跡があったのだと驚いたこと、石川の鉱物の話はこれまでに聞いたことはあったが、実際に見学ができて感動したことなどを伝えてくれました。

生徒代表お礼のことば(2年生)

今回の特別授業では、保存会の皆様、そして会長の相田様にたいへんお世話になりました。本校としては、今後も石川町の魅力ある地域資源を教材として活用する取組を進めていきます。引き続きよろしくお願いいたします。

※ なお今回の現場となった和久観音山鉱山跡につきましては、保存会の方々によって大切に管理、保存されています。
見学や採取を希望する場合には、石川町にお問い合わせの上、詳細についてご確認ください。勝手な鉱物の採取は絶対に行わないようにお願いいたします。